1.で述べたとおり、ヨルダン政府の方針により、イラク人は難民としての保護はなく、ヨルダンでの滞在許可がない限り、正式な社会サービスが受けられない。UNHCRに登録して得られるAsylum Seekerのステイタスがあるが、UNHCRがNGOなどを通して行っている補完的な事業から支援を受けられるのみであり、基本的な社会サービスは享受できない状況に置かれている。
イラク人に対する法的支援を行っている主要人道援助機関は、Mizan(UNHCR事業)、The National Center for Human Rights(UHNCR事業)、Jordan Women Unionなどがある。法的ステイタスがイラク人の生活の困難さにつながっている面が多く、援助機関からの更なる働きかけが期待されている。
イ)
保健医療サービス
Asylum Seekerの登録を行っていれば、滞在許可がなくとも、イラク人への支援を行っている援助機関による医療サービスは受けられる。しかし、重病の疾患に対しては、自費にて治療費を払わねばならず、大きな経済負担となっているケースが多い。
イラク人に対する医療支援を行っている主要人道援助機関は、Caritas Jordan(UNHCR事業)、Jordan Red Crescent Clinic(French Red Cross, German Red Cross, IFRCとの連携事業)、Italian Hospital(Caritas 及びICMCの搬送患者)、MSF、MSFオランダ、Royal Association for Iraq Immigrants (イラクNGO)等がある。
ウ)
教育サービス
滞在許可のないイラク人は公立学校への入学許可が得られないため、私立学校、インターナショナルスクールなどの高額な授業料が払えない場合、子ども達が学校で教育を受けられない状況にあり、大きな問題となっている。ヨルダン政府は、2007年8月、滞在許可のないイラク人も公立学校入学を許可するという新しい方針を出し、状況は改善される見込みである。しかし、施設、教師、受け入れ態勢において、ヨルダンの公立学校のキャパシティが全般的に不足しており、また校長先生の意向が左右することも予想されるため、援助機関による支援の必要性が求められている。UNICEFとUNHCRは、7月27日、共同で周辺国のイラク人に対するBack to School 支援へのアピールを国際社会に発出した。
USAID、EUが大規模な教育支援を行う予定といわれている。
イラク人に対す教育支援を行っている主要援助機関は、UNICEF Jordan, International Catholic Migration Commission(ICMC)、CARE(UNHCR事業)、Save the Children Jordan,
Jordan Red Crescent等がある。
エ)
トラウマを抱えた人々への心理社会的支援
イラク国内での紛争、迫害、性的暴力等に加え、避難後、正式な滞在許可がないまま異文化で先の見えない生活が続くことでの心理的負担が大きいため、心理社会ケアが求められている。
心理社会的支援を行っている主要援助機関は、UNHCR、CARE、Mercy Corps、Save the Children Jordan等がある。