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イラク難民人道支援
 (シリア)


●出張報告書
 ・第1回
  2007.11.12 - 11.28

 ・第2回
  2007.12.06 - 12.07

 ・第3回
  2008.01.19 - 01.31


●初動調査報告
 ・初動調査報告書
 (JPF事務局)

 ・初動調査報告書(JEN)


イラク難民人道支援(シリア)

第2回シリア・ヨルダン事業調整、連携促進事業報告書
調査実施体制
(1) 調査者:椎名規之 JPF事業部員
(2) 調査期間:12月6日(木)〜12月17日(月)
(3) 調査地:ヨルダン(アンマン、ザルカ、アズラック)
(4)
調査団: 八家由美子 アジア福祉教育財団 企画調整課企画第二係員
高松幸司 JPF事務局長
宮下礼 SCJ事業強化・緊急事業部長
(5) 調査団同行者:岸守 一 UNHCR駐日事務所副代表

今回の調査の目的
 今回はヨルダンでの調査の日程とシリア現地の状況(12月19日前後から犠牲祭のためシリア政府が活動を行わないこと、JPF参加NGOのNGO登録・事業実施のための執行体制に関する了解覚書(Memorandum of Understanding, MoU)の進捗がなかったこと)からシリアでの調査は延期し、来年1月に行うものとする。

 難民事業本部が12月7日から15日まで行うJPFとSCJのスタッフを同行して行う調査に同行し、以下の目的を持って活動を行う。

  1. 難民事業本部、UNHCR駐日事務所、JPFの共同調査
    (1) ヨルダンでの支援ニーズの認識を3者で共有し、その後の活動連携について協議する。
    (2) 難民事業本部、UNHCR駐日事務所とともにJPF参加NGOの事業を視察し、その活動を紹介、将来的な事業連携に向けてアピールする。
    (3) UNHCRとNICCOの共同事業実施のサポート
     →UNHCR駐日事務所の協力を得て契約に合意するようまとめる。
     →KnKやSCJの事業を紹介し、将来の事業連携を協議する。
    (4) 国際支援機関、特に国連機関と共同事業を行っている国際NGOやヨルダン赤新月社の事業を視察し、その活動状況を調査するとともに、調査結果をJPF参加NGOと共有し、現在実施中の事業へ役立て、将来の事業形成、特に国連機関との共同事業の構想を練る。

  2. JEN、SCJとのシリア事業の調整・相談
    (1) 両団体とNGO登録状況を確認し、今後の対策や具体的協力内容、シリアへの調査時期の調整などについて協議する。

日程

日程 場所 訪問先等
12月6日
(木)
日本発 移動
12月7日
(金)
アンマン(休日) 午前中:移動
午後:調査準備
12月8日
(土)
アンマン(休日) 調査準備
12月9日
(日)
アンマン 午前中:日本大使館
午後1:ヨルダン計画省
午後2:SC (Save the Children)
12月10日
(月)
アンマン 午前中:UNHCR
午後1:Higher Council for Youth
午後2:ハシミテ慈善協会
午後3:KnK
12月11日
(火)
アンマン、
ザルカ、
アズラック
午前:SCJ、SC
午後1:テルゼゾン
午後2: NICCO
12月12日
(水)
アンマン 午前:NCCI
午後:ヨルダン赤新月社
12月13日
(木)
アンマン 午前:Caritas Jordan
午後1:ヨルダン教育省
午後2:PWJ
12月14日
(金)
アンマン(休日) 午後1:JICAヨルダン事務所イラク班
午後2:JEN、SCJ
12月15日
(土)
アンマン(休日) 午前:CARE International Jordan
午後:報告書作成
12月16日
(日)
アンマン 午前:日本大使館 (電話連絡)
移動
12月17日
(月)
日本着 移動


調査結果

ヨルダン政府の支援方針


(1) ヨルダン政府から発表される予定である、NGO活動を含めた国際援助に関する「方針・手続き書」と「イラク難民の流入がヨルダンのインフラや経済に与える影響を調査した文書」は残念ながらまだ発表されていない。しかし少なくともドラフトはヨルダン計画省の手元にあり、発表は近いと考えられる。

UNHCRとJPF参加NGOの共同事業の可能性など


(2) 来年1月からのUNHCRとNGOとのImplementation Partner契約(IP契約)の交渉は12月第2週が最終企画書提出の締め切りであり、選考の結果は第3週に発表になるとのこと。NICCOも候補者であり、これまで企画書のドラフトをUNHCRに送り、予算書の修正などを行っている。UNHCRではすでにIP契約予定数を超える企画書をNGOから受け取っており、最終選考で数が絞られる見込み。(注:12月18日にNICCOからIPとして選考されたとの連絡を受けた。)
(3) SCJとUNHCRのIP契約については、SCがすでにUNHCRのIPとして活動を行っており、SCJとしてはJPF事業においてもNGO登録を新規に行っていないことなどから、今後SCJの活動がすでにSCが持っているIP内で契約を結ぶこと、具体的には、UNHCRとSCのIP契約の中でSCJの事業部分に資金が送られるような契約内容を作成するなどが考えられる。
(4) KnKとUNHCRとのIP契約に関しては、KnK側から具体的な参加の意思や事業計画が表明されていないものの、フフェイスやアズラックといったNGO活動がまだ集中していない地域で活動を行っていることから今後の可能性はあると考える。今回のUNHCRヨルダンの事業部門との会談でIP契約の数や団体、地域などをまとめたチャートを入手したため、今後このチャートを分析し、NGO側から実施できる事業を提案していくことも可能であると考える。KnKの活動地域であるアズラックでは芸術・スポーツ分野でのIPが存在しておらず、KnKが今後IP契約を交渉するために有利な条件があると考えられるが、UNHCRはNGO登録を完了している団体とのみ契約を結ぶため、Higher Council for Youthとの共同事業という形で事業実施に登録を特に必要としていないKnKはまず登録をする必要がある。

JPF参加NGOの活動状況


(5) KnKの活動について、12月10日にアズラックにおいて事業の立ち上げ式が行われた(実際には活動はすでに開始されている)。式にはHigher Council for YouthのYouth Centreや在ヨルダン日本大使館、イラク大使館が参加し、KnKの活動に関するアドボカシーや現地での事業への理解に役立っていた。ジャパン・プラットフォームのロゴが掲げられ、現地カウンターパートのスピーチの中でも名前が言及された。式をさらに良いものにするための提案をするならば、A)式で直接受益者である子どもたちを前列に座らせ、大人を後列に配置する、B)喫煙や携帯電話の使用を会場内では禁止し、屋外に限定する、などが考えられる。

英語教育などの活動を今回の活動では視察できなかったため、次回への調整事項とするとともに事業のインパクトを測るKnKの取り組みなどについて話し合いを行いたい。

受益者の子供たち KnK活動のプレゼンテーション
(6) SCJの活動について、今回視察した支援予定の幼稚園はSCの推奨するLearning Through Play (LTP)の導入に積極的に賛同した幼稚園であるが、すべての幼稚園がこのように理解があるわけではなく、イラク人園児入園にも消極的であるため、SCJとして事業準備に努力が続けられているとのこと。視察した幼稚園(ザルカ県)はSCJが修復を予定している教室スペースを確保しており通常授業に支障なく修復作業が可能であり、すでに独自で施設修復を始めている部分もあることから、事業終了後もJPFの支援継続に依存することなく活動を行うことができる。プレイルームの安全性やスペース、動線等などに改善の余地が見られたが、今後幼稚園側が修復を要請している給湯室・トイレを含めSCJの提案する修復場所の協議が行われることとなっているため、その協議の結果が待たれる。
修復予定の空室 現在の幼稚園の活動の様子
(7) NICCOの活動について、今回心理社会的ケアのワークショップ(ダンス・演劇)を視察、受益者である子どもたちの積極的な参加と彼らの両親の事業への信頼が伺えた。今回の調査中に実現した、事業に演劇を取り入れた活動をしているCARE International Jordanの共同事業視察などを通して、活動に更なる改良を加えることも考えられる。

食糧供与事業に関して、UNHCRのIPとしてザルカで食糧配給を行っている国際NGOのテルゼゾン・イタリアンやJordan Action Against Hunger (JAAH)と受益者リストの情報を共有している。受益候補者の調査も実施しているが、社会開発省のリストとUNHCRのリストで重複する名前が見られるとのこと。重複を出来るだけ避けるためには社会開発庁の受益者リストを出来るだけ早く入手し、UNHCR側とクロスチェックする必要があるが、来年1月15日ごろに行われる第2回目の供与のためのリストはまだ届いていないことが懸念される。同じザルカで活動するUNHCRのIPとの積極的な交流と情報交換も求められる。

NICCOの事務所兼ワークショップ会場の入り口にはジャパン・プラットフォームのステッカーが貼られ、Visibilityの対策も適切に取られていた。

ワークショップ:ダンス ワークショップ:演劇

JICAとの連携可能性


(8) JICAヨルダン事務所・イラク班との事業連携に関し、イラク班としては第3国研修を含めた人材育成を考えているとのこと。来年度4月からの予算編成(5、6億円程度?)が12月末であることから(要請主義の立場から相手国との協議は2月まで)、早急の対応が求められる。具体的なNGO側からの提案としては、まず今回は人材育成講座の中にNGO側から講師を送ることなどを提案し、来年9月以降、JPF資金での活動が完了する以降の活動について更なる共同事業の可能性を探る必要がある。


国際NGO、ヨルダン赤新月社の活動訪問


(9) SC
UNHCR教材供与事業パッケージの内容 順番を待つ受益者
  SCはアンマンの学校リストのうちイラク人を受け入れている20校あまりからイラク難民の子供とヨルダン人の子ども(学校が選出する支援の必要な児童)を対象に教材の支給をUNHCRのIPとして実施している(イラク難民の子供の受け入れを拒んだ学校は、受け入れるキャパシティの問題やイラク難民を拒否の方針等を理由にしている)。児童が物資配布場へ到着するとまず子供たちを事前登録リストと照合し、クーポンを配布する。児童はサイズと学年別に分けられた教材配布場に並び、クーポンと引き換えに教材パッケージを受け取る。配布にはイラク人ボランティアが参加し、子供たちへの対応を行っていた。
SCによって改善された幼稚園
  上記の教材配布場のスペースはSC Jordanのオフィスがある敷地内にあるが、ここにはSCが昨年夏よりイラク人園児約100人を対象に開園している幼稚園がある。ここでこの幼稚園をモデルとして現在SCJが修復を予定しているザルカなどの幼稚園が、事業後どのような形になるのかを比較するためのモデルケースとして視察を行った。十分なスペースと遊具の数、床を使って活動ができるカーペット、安全な遊び場など、事業前の幼稚園との大きな違いが見られた。
(10) テルゼゾン(Terre Des Hommes)・イタリア
テルゼゾンはUNHCRのIPとして食糧配布事業を実施しているほか、NICCOが活動を行っているザルカでのIPの取りまとめも行っている。
クリニック 職業訓練・収入向上 (服飾)
  テルゼゾンはThe Soldier’s Families Welfare Societyの建物内でクリニックや図書室、職業訓練などを行っている。収入向上事業の一環である穀物選別・パッキング事業では、選別する穀物の品質を高めて高級ブランドとして販売し、マーケットの中で購買力を高めている。職業訓練の一つである服飾では、日本製電動ミシンの老朽化が問題であり、支援を必要としているとのこと。
(11) ヨルダン赤新月社
クリニック(UNHCR IP事業) 職業訓練(服飾)
  前回の調査で赤新月社の活動内容の聴取を行ったが、今回は実際に活動の様子を視察した。クリニックでは患者数が1日120人から250人ほどで、現在働く2名の医師では足りていないとのこと。職業訓練は裁縫のほかに、コンピュータの正式な資格が取れる教室、美容院教室などがある。教室に参加するためには小額の受講料を支払うシステムになっており、事業運営へ使うほか受講者の活動の意志を確認する意図もある。コンピュータ教室はスペイン政府の支援によって実施されているが、コンピュータが老朽化しており、フォローアップの支援が必要とされている。
(12) Caritas Jordan
クリニック(UNHCRのIP事業) 超音波医療機材 (日本製)
  視察で訪問したクリニックでは1ヶ月に約4,600人の患者を診察しており、イラク人医師も患者を診ている。重病患者はItalian Hospitalや他の病院に患者を搬送している。患者では18歳から59歳までの女性患者の数が最も多く、全体の35%ほどを占めている。クリニックでは2007年11月に3回のHealth Awareness Sessionsを行い、200人ほどの受益者がAIDSやガン、慢性病について学んだということである。 ヨルダン事務所代表の話によると、Caritasの事業実施の経験から言えばヨルダンに滞在するイラク難民の数はFAFOレポートで指摘された45万〜50万以上より多く、75万人ほどではないかということである。
(13) CARE International Jordan

心理社会的ケアの一環として実施されているFamily DayというイベントをNICCO、SCJ、KnKと合同で視察した。このイベントでは演劇クラスの活動発表のほか、カウンセラーに家庭の問題などを相談できるコーナーが開かれていた。演劇でCAREが取り上げた題目については(“殉教者の帰還“)、政治色が強いように感じられ、NICCOは今回の視察の成果として演劇ワークショップの最後に行う発表会の題目は慎重に選考することを検討していた。

CAREはヨルダンで長い活動経験を有しており、ヨルダン政府のNGO活動への介入について慎重で懐疑的な考え方を持っている。 ヨルダン政府から発表される予定である、NGO活動を含めた国際援助に関する「方針・手続き書」や「イラク難民の流入がヨルダンのインフラや経済に与える影響を調査した文書」をJPF参加NGOが確認し、ヨルダン政府の支援方針のNGO活動への影響を考える際に意見交換を行う価値があると思われる。


イラク国内での活動情報の共有


(14) PWJスタッフとのアンマンでのミーティングによりイラク国内で活動するJENやPWJとイラク国内の情勢、活動情報を共有することを確認。ヨルダンへの難民の流入に対する影響を考える上で役立てることを考えている。

(15) 調査期間中にJENがシリアでNGO登録を完了したことを確認。JPFが来年1月第2週にシリアへWFP日本事務所と共同で調査を行う予定であることをJENとSCJに連絡。JENもシリアに1月後半スタッフを送ることを検討中であり時期を調整中である。SCJも現地でNGO登録を完了しているSC・UKと連絡を取り、事業実施の準備を行う予定である。

今後の課題と提案

(1) ヨルダン政府から出される予定のNGO活動を含めた国際支援に関する「方針・手続き書」と「イラク難民の流入がヨルダンのインフラや経済に与える影響をまとめた文書」について在ヨルダン日本大使館を通じて入手し、精査して今後の活動に役立てること。
(2) Policy paperとImpact studyについての考察を国際支援機関と議論し、彼らの事業方針について情報収集をするとともにJPF参加NGOと協議、必要な対策を行うこと。
(3) JPF参加NGOの活動状況を引き続き視察し、とくに事業のインパクトを測る方法・指針などについて協議する。NGO間での事業視察を推奨し、特に同じ分野で活動する国際NGOの活動を視察できるよう支援する。
(4) JICAヨルダン事務所イラク班と具体的な連携活動について引き続き提案を行い、JPF参加NGOとJICAの橋渡しを行うこと。そのためにJICA東京本部と話し合いを行うこと。
(5) 日本外務省と日本NGO連携無償のヨルダン・シリアでの活用について協議を行うこと。
(6) シリアでNGO登録を完了した国際NGOと連絡を取り、現在の事業実施手続きについて情報収集を行うと同時に、JENと了解覚書の雛形を精査して対応を協議しプロジェクトドキュメントの作成も同時並行で行うよう支援する。


次回調査の目的と活動予定

ヨルダン

(1) 国際援助の窓口であるヨルダン計画省と在ヨルダン日本大使館にJPF参加NGOの活動を報告するとともに、ヨルダン政府のイラク難民支援の方針などを確認し、イラク難民支援ネットワークで共有する。
(2) UNHCRとJPF参加NGOとの間でImplementation Partner契約を結べるよう引き続き支援を行い、必要な協議・情報収集を行う。
(3) 国際支援機関の活動について継続的な情報収集を行い、支援活動の情勢を確認するとともに事業の連携可能性を探る。
(4) JICAヨルダン事務所・イラク班とJPF参加NGOとの具体的な活動連携を提案・協議する。
(5) 在ヨルダン日本大使館から草の根無償資金、日本NGO連携無償について情報収集を行い、長期的な支援を視野に入れたヨルダンのローカルNGOとの共同事業・キャパシティビルディングの計画と来年9月以降のJPF参加NGOの活動について協議を行う。

シリア

(6) シリア外務省とJENのNGO登録の完了について確認し、JENと活動を実施するための了解覚書やプロジェクトドキュメントの作成について協議する。
(7) JPF事務局のNGO登録についてJPFの立場・活動予定を再度説明し、必要な手続きを行う。
(8) 国際支援機関、特に国際NGOの活動状況について情報収集を行い、JPF参加NGOの今後の活動に活用してもらう。
(9) 第1回調査で実施できなかったシリアでのWFPの活動調査、将来の共同事業実施についての話し合いをWFP日本事務所とともに行う。

以上


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