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事業一覧【PDF】24KB

モニタリング報告書


リベリア人道支援・情報

モニタリング報告書
平成18年3月
ジャパン・プラットフォーム事務局
1. JPFリベリア事業の概要

 リベリアでは、2003年8月に包括的和平合意が成立したのを受け、14年にわたる内戦が終結し、2003年10月に2年間の任期の暫定政権が成立した。2003年9月からは国連リベリア・ミッション(UNMIL)が展開を始めた。
 このような情勢を受け、ジャパン・プラットフォーム(JPF)では、2004年2月にリベリアへ初動調査ミッションを派遣した結果、帰還民支援として、衛生インフラ、住環境や農業基盤整備等の分野において、リベリア各地で膨大な支援ニーズがあることが確認され、国際情勢や国際援助諸機関の動向を踏まえつつ、住民の支援ニーズに基づいて、2004年3月より人道支援活動を開始した。
 それ以来、これまで三期にわたって、アドラ・ジャパン、ピース ウインズ・ジャパン(PWJ)、ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)の3団体の延べ10事業(含む初動調査2事業)に対して、4億3,600万円(政府資金)の拠出を行っている。各団体は国内避難民・難民等の帰還が多数見込まれ支援ニーズの高い州をそれぞれ支援地に選定し、アドラ・ジャパンがニンバ州、PWJがロファ州、WVJがグランド・ケープ・マウント州に対象を絞り込み、帰還民支援という共通の目的のもとで事業を開始した。
 現在、第三期支援においてリベリアで活動中のPWJ及びWVJの2団体は、JPF第一期支援から、国連食糧計画(WFP)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などの国連機関とも連携しつつ、難民や国内避難民の帰還、再定住支援活動を継続して行っている。
 支援開始よりおよそ一年半が経過し、支援活動も第三期目となったことを受けて、現在活動中のWVJ、PWJの2団体による事業を対象にモニタリングを行った。

2. モニタリングの概要

(1)モニタリングの目的

 現在実施中の2事業の進捗状況を確認するとともに、新たな人道支援事業形成に役立つ教訓を得る。

(2)モニタリング対象事業

実施事業名 実施
団体
実施期間 助成承認額
(円)
資金源
ロファ州・ヴォインジャマ周辺における住環境整備事業 PWJ 05.02.08-05.09.30 104,497,100 政府
グランド・ケープ・マウント州難民・国内避難民帰還支援事業 WVJ 05.04.01-05.09.30
(平成17年8月22日に承認済み)
70,261,753 政府

(3)モニタリング実施者

  ジャパン・プラットフォーム事務局 事業総括 佐藤 美央

(4)モニタリング結果

 PWJについては、2005年8月16日にモンロビア事務所を訪問し、17日にモンロビアから陸路でロファ州ヴォインジャマ郡へ向かったが、日程上の制約および陸路でのアクセスが困難だったため、第三期支援が行われているフォヤ郡までは行くことが出来ず、ヴォインジャマ事務所で聞き取りを行った。
 WVJについては、8月15日にワールド・ビジョン・リベリア事務所を訪問し、19日から20日にかけて、事業地であるグランド・ケープ・マウント州テウォ県およびポパ県の事業地を訪問してモニタリングを行った。
別添1:PWJモニタリング調査結果、及び、別添2:WVJモニタリング調査結果を参照)

(イ)進捗状況:事業は計画どおり進んでいるか(スケジュール、内容)
   PWJ、WVJともに事業は計画よりも遅れている。PWJの事業は、雨による道路状況の悪化に伴って、事業地へのアクセス確保が困難であること、また、通行できた場合でも車の修理・整備に毎回時間を要しており、事業は遅延しており、7月7日に54日間の事業期間延長が承認され、事業終了予定は9月30日である。但し、現在、橋の修復に関して事業内容変更を申請しており、修復内容と橋の修復の本数の変更が承認されるのを待っている状況である。橋の修復は、シェルター建設支援を行う村落へのアクセス確保のために必要なものなので、シェルター建設支援についても、中断状況である。8月17日現在、橋の修復は2箇所が終了し、21ヵ村にてシェルター建設支援のためルーフキット358セットの配布が終了している。  道路状況が悪くトラックが通行できる見通しが立たないことを受けて、ギニア税関と交渉してギニア側を通るルートを検討、また、モンロビアからの資材搬送も通行許可証を得てシエラレオネ経由を検討するなど、いろいろな可能性を検討して対処している。また、資材調達に関しても、運搬ルートの確保と価格を考慮しつつ、隣国での調達も検討中である。  WVJの事業は、資材調達遅れ、道路状況の悪化によって予定以上に搬送時間を要した結果、事業期間を1ヶ月間延長したが、資材については8月19日現在、既に調達済み、搬送中であり、延長期間中に事業を完了できる見込みである。事業内容には変更がなく、8月19日以降9月30日までに残っている作業は、完成した井戸の引渡しと保健衛生トレーニングの継続、学校修復4校の完成と橋の修復2本である。

  (ロ)資金管理について
     WVJ事業におけるJPF資金は、ワールド・ビジョン全体で共通の管理システムに基づいて、ワールド・ビジョン・リベリア事務所のサポートを受けながら管理されている。第三期目の事業であり、JPF事業担当の会計担当者も、JPF資金に関する諸規定について理解しており、プロジェクト・マネージャーの予算管理のもとで、執行されている。
 PWJでは、カントリー・ダイレクターが予算全体の執行管理を行い、東京本部へは月に一度会計報告を行っている。各事務所には、事業調整員の下に会計責任者が配置されており、それぞれ事業調整員の管理のもとで執行されている。JPFシステムについては英訳したJPF諸規定を用意して、会計担当者に指導している。PWJでは、UNHCRを初めとする他のドナーからの事業も実施しており、資金についてはそれぞれプロジェクト・コードを用いて管理されている。支援内容が重複しているものもあるので、最終報告書の収支報告で実績の確認が必要となる。

  (ハ)ロゴ等のビジビリティについて
     WVJ事業では、支援を行っているコミュニティの入り口にJPF支援が行われていることを示す看板が必ず立てられており、非常にビジビリティが高い。また、トイレのドア一つ一つにもJPFロゴマークがつけられている。井戸の足場には完成時期、井戸の深さなどの情報とともに、井戸がJPF支援で作られたことが示されている。JPF事業用の車輌、また事務所内の備品にもロゴマークは表示されている。
 PWJの第三期事業の支援地であるフォヤ郡は訪問できなかったが、第一期、第二期で支援が行われたヴォインジャマでは、事業地にJPFの看板が立てられていた。またJPF事業用の車輌、事務所の入り口の看板や事務所の備品にもロゴマークが表示されている。

  (ニ)現地での執行体制
     WVJ事業では、計画人員からは、フィールド・モニターが一名減員となっているが、業務は現行の人員でカバーされている。ワールド・ビジョン・リベリア事務所と連携し、サポートを受けているが、JPF事業責任者であるプロジェクト・マネジャー(国際スタッフ)がモンロビアに駐在し、JPF事業の実施拠点であるシンジェ事務所を含め、JPF事業として独立した指揮・命令系統が確立されており、連携関係はスムーズに行っている。
 PWJ事業では、モンロビア駐在のカントリー・ダイレクター(国際スタッフ)のもと、JPF事業スタッフとして、モンロビア事務所に5名(計画人員より1名減)、ヴォインジャマ事務所に16名(計画通り)、フォヤ事務所に18名(計画人員より2名減)が配置されている。JPF事業以外のスタッフとしては、モンロビア事務所に2名(自己資金)、ヴォインジャマ事務所に16名(UNHCR事業スタッフ)、フォヤ事務所に11名(UNHCR事業スタッフ)が雇用されている。ヴォインジャマ事務所およびフォヤ事務所は調整員(国際スタッフ)が統括している。


3. リベリア人道支援事業の背景

(1)リベリアの概要

 リベリアでの人道支援オペレーションを困難にしていることの一つに、基本的な統計データが存在しないことが挙げられるが、リベリアの人口は約3,482,211人(2005年7月の推計)で、面積は111,370平方キロメートル(日本の約3分の1)である※1。WFPリベリア事務所の資料によれば、人口のおよそ75%の人が貧困ライン以下の生活を送っていると考えられる。労働力人口を職業別にみると、70%が農業従事者で、主な農産物はゴム、コーヒー、米、キャッサバ、ヤシ油、サトウキビ、バナナなどであるが、失業率は85%(2003年)と非常に高い。また、主な産業は、ゴム加工、ヤシ油加工、材木、ダイアモンドなどである。

※1 CIA World Factbook: http://www.cia.gov/cia/publications/factbook/geos/li.html

(2)国内避難民(IDP)・難民の帰還状況について※2

 今後の帰還者数の見込みについては、UNHCRリベリア事務所のメンゲシャ・ケベデ代表(Mengesha Kebede)は、雨季が終わり、選挙も終わったあとの11月以降に帰還が加速する可能性があることを指摘していたが、データ不足のため予測は非常に困難というのが現状である。
 国連リベリア・ミッションの資料によれば、2004年11月から2005年8月26日までに帰還した国内避難民数は209,092人(40,052家族)である。IDPキャンプについては、2005年1月時点では35箇所あったキャンプに311,000人の国内避難民がいたが、約170,000人が故郷に帰還したと考えられる。しかし、2005年7月現在でも、依然、約130,000人が24箇所あるIDPキャンプに住んでいる状況である。 国際機関の支援を受けられる登録済みの314,000人のIDPのうち、3分の1以上である約114,000人がPWJの支援実施地であるロファ州に帰還するとみられており、ロファ州が最も多いIDPの帰還民を受け入れることになる見込みである。2005年8月末現在、ロファ州出身のIDPのうち66,416人が既に帰還支援を受けた。
 リベリア国外にいるリベリア難民のうち、およそ150,000人の難民が自発的に帰還したとみられるが、2004年10月以降にUNHCRの援助を受けて帰還した難民は、2005年8月26日時点で、38,375人である。

国内避難民・難民の帰還見込数
  ロファ州 グランド・ケープ・マウント州 ニンバ州
国内避難民 114,836人 14,814人 5,011人
難民 89,324人 14,677人 25,595人
(WFPリベリア事務所資料より作成)

※2 詳細は、IDP Return in Liberia Update #31参照。http://www.humanitarianinfo.org//liberia

(3) 武装・動員解除、リハビリ・社会復帰(Disarmament, Demobilization, Rehabilitation and Reintegration (DDRR))プロセスについて

 和平プロセスにおける元兵士の武装・動員解除は公式には2004年10月31日で終了し、102,000人が武装・動員解除したが、リハビリ・社会復帰プロセスの遅延が懸念されている。8月24日現在で、37,500人の元兵士がリハビリ・社会復帰プロジェクトに参加しており、さらに35,448人が国連開発計画(UNDP)の運営するDDRR信託基金によるプロジェクトでカバーされているが、26,000人強の元兵士はいまだにリハビリ・社会復帰プロジェクトに参加できずにいる。


(4)選挙関連※3

 UNMILのレポートによれば、10月11日に投票が行われる予定の選挙の準備は、特段の暴力的な状況等もなく、予定通りに進んでいる。8月6日に立候補者の届出が締め切られ、8月15日にそれぞれ22名の大統領候補と副大統領候補が選挙管理委員会に承認され、22政党が登録を行い、選挙キャンペーンが開始された。上院への立候補者が205名、下院への立候補者が513名となっている。
 これまでのところ、選挙関連での極端な治安の悪化は報告されておらず、順調に選挙プロセスが進めば、2006年1月に新政権が発足することとなる。

※3 Eighth progress report of the Secretary-General on the United Nations Mission in Liberia, S/2005/560参照

4. 援助関係者の動向

 上述の通り、10月に予定されている選挙後、新政権発足は来年1月の予定であり、ドナーである米国開発援助庁(USAID)、UNMILを初めとする国連機関も、復興へ向けたより中・長期的な支援計画の策定は来年以降を予定しており、現段階では方向性の確認が困難である※4
 2005年7月7日に会合が開催され、国連開発援助フレームワーク(UNDAF)プロセスは間もなく開始されるとのことだが、決定までには6ヶ月ほどかかる見通しである。また、2006年からの5ヵ年計画となる国家復興計画(National Recovery Planning)は、6ヶ月以内を目処に策定される予定とのことである。
 中・長期的な支援枠組みについては、来年の新政権の発足を待つことになるが、現地で活動している援助関係者が指摘する援助を実施していく上で重要なポイントは、以下の通りである。
 (1)国内避難民、難民、元兵士など様々なカテゴリーがありうるが、どれか一つのグループを対象にして他のグループを排除するのではなく、「コミュニティ」を基本としたアプローチ(community based approach)によって、帰還先コミュニティ全体の受入能力を高め、帰還民の再定住を促進していくことが、平和定着の観点からも重要である。
 (2)限られた資金・人員で有効に支援を行っていく上で、援助コミュニティ内でのコーディネーションが不可欠である。現状では、支援ギャップを特定することすら難しく、行政機構がうまく機能していないことを考えると、共通のデータ・システムを構築し、各機関が集めた情報を共有していくことが急務である。

※4 USAIDによる支援は現在「移行期サイクル」(2004年7月から2005年12月まで)に入っており、この期間中により緊急性の高い人道支援は徐々に少なくなり、来年以降、より開発援助に近い性質のプログラムが増えていく見通しである。


5. まとめ

(1)JPF緊急・人道援助の出口プラン

 2003年8月に和平合意が成立し、10月に暫定政権が樹立されたのを受け、2004年2月上旬に「リベリア支援国閣僚級会合」がニューヨークで開催されたが、ジャパン・プラットフォームではその直後に初動調査ミッションを派遣し、3月には第一期支援を開始するなど、迅速に、かつインパクトのある規模での政府資金の拠出が決定された結果、現地では、初期段階からJPF参加のNGOによる活動のビジビリティが非常に高い。また、その後も第二期、第三期と政府資金の拠出が継続され、支援ニーズの高い困難な地域での援助を継続して行っていることで、受益者、現地行政府、国連・ドナー国など他の援助関係者からも高く評価されている。
 9月現在、PWJ、WVJの二団体による第三期支援事業が終了に近づいているが、10月には選挙が行われ、その選挙結果を受けて、来年以降、まさに国を挙げて復興へのトラックを進めるかどうかというところで、一年半にわたり継続してきたJPF支援が途切れてしまうのは、これまでの実績を考慮すると、タイミングの悪い感は否めない。新政権が成立して、国際社会の支援を受けながら様々な基盤・体制整備へ向けてようやく動き出すと想定される時期をカバーするタイミングをもって、JPFのリベリア人道支援プログラムの終了と捉えることは、緊急・人道援助から移行期を経て、復興支援の枠組みへとつながる切れ目のない援助の実施というJPFの目的にも適い、長期的な観点からみて初期の緊急・人道援助での投入の効果が高まると考えられる。

(2)NGOの今後の活動計画と現地での連携体制

(イ)PWJ
   難民・国内避難民の帰還スケジュールの見通しを立てることが難しい中、UNMILのジョンソン氏(Mr. Denis Johnson)によれば、帰還民へのシェルター支援は非常に重要なセクターであるものの、雨、道路状況等困難な条件が多いセクターである。最も多数の帰還民が戻るとされているロファ州内で、フォヤ郡、コラフン郡でシェルター支援を行っているのは、現在のところPWJのみである。 例えば、PWJの事務所があるヴォインジャマから事業地であるフォヤ郡への移動は、劣悪な道路状況のため、まだ通行不可能であり(9月3日現在)、UNHCRによるギニアおよびシエラ・レオネからのこの地域への難民の移動については、この3週間延期となったままである※5 。このように、もともと条件の悪い道路と橋の状況が雨季の開始でさらに悪化し、支援活動の進捗状況に大きく影響しており、PWJによる第三期支援事業も遅延している。また、事業地へのアクセス確保のために必要な、橋の修復に関する計画変更を申請中のため、現在、事業が一時中断状態となっており、事業期間延長は避けられない状況である。
 困難なオペレーションとなっているが、JPF第一期で支援したヴォインジャマを拠点に、JPF第三期支援ではフォヤ郡にも拠点を確立して、フォヤ郡とコラフン郡をカバーし、今後は、そのフォヤ郡からさらにヴァフン郡へと展開してシェルター建設支援を継続することを計画中である。
 また、PWJはUNHCRの帰還支援事業のパートナーとして、シェルター建設支援の他に、トイレ建設、井戸整備、衛生教育、学校修復・整備、ウェイ・ステーション運営を行っており、JPF支援事業と国連機関との連携事業を合わせて、総合的な帰還民支援を実施しており、その手法は先述のコミュニティを基本としたアプローチとなっている。これらの実績をもとに、来年の新政権発足後をにらんで、より長期的な支援事業計画を準備中であり、既に外務省の日本NGO支援無償資金協力へ事業計画を提出するべく、情報収集、関係者との協議、ニーズ調査等も進めている。

※5 IDP Return in Liberia Update #31. http://humanitarianinfo.org/liberia

  (ロ)WVJ
     WVJはJPF第一期支援で農業支援を通じた帰還民支援を実施し、グランド・ケープ・マウント州の5県497ヵ村を対象とした。第二期支援からは、支援対象を5県の中からポパ県とテウォ県の2県に絞り(他の3県についてはパートナーであるワールド・ビジョン・リベリアが引き続き支援)、第三期支援では、井戸の修復・設置、トイレの設置等の水・衛生分野の支援、学校修復および道路の修復事業を実施しており、帰還民を受け入れるコミュニティをベースとした支援を展開している。また、支援を行う各コミュニティでコミュニティ保健委員制度を作り上げており、これまで支援を実施したコミュニティでの活動の持続性が高く、また、WVJの事業が同地域で継続しているので、事業後のモニタリングも併せて行われており、コミュニティの自立の可能性を高めている。
 WVJは、ワールド・ビジョン・リベリアとの連携枠組みを軸に、世界食糧計画(WFP)、国連児童基金(UNICEF)などの国連機関とも連携しながら事業展開しており、JPF事業をもとに支援活動の範囲を広げている。 第三期では2県内の29カ村で支援を実施したが、第三期支援と同様の支援内容に保健・衛生促進活動、井戸補修管理トレーニングを加えて、さらに周辺のコミュニティをカバーする形で支援を継続する計画である。
 来年以降のより復興期支援の展望としては、引き続きこれまでJPFで支援してきた2県を対象に、これまでの水・衛生分野、学校修復、道路修復からセクターを拡大して、技術トレーニングや農業復興支援等も含めたコミュニティ支援を行う予定で、外務省の日本NGO支援無償資金協力へ事業計画提出の準備を進めている。

(3)JPF事業の改善点

 リベリアのように長期にわたる内戦終結後、暫定政権のもとで行政機構がほとんど機能せず、基本的なインフラ乏しく、治安状況も安定しない国で支援活動を行うのは容易ではないことは明白だが、今後のJPF事業の改善可能な点として、以下の点を指摘したい。
 リベリア人道支援のように継続して事業展開を行う場合には、継続実施のメリットを最大限に活かして、事業計画の精度を徐々に上げ、事業実施者とJPF関係者との間の情報共有量を増やしていくことが求められる。事業計画においては、事業を行うことの正当性を明らかにするために、その事業が取り組む具体的な問題点、支援対象者を明確に定義する必要がある。その上で、何を達成するのかという事業の目的、どのような成果が得られるのかという事業の結果、その結果に到達するために必要な活動内容を事業計画の中で組み立て、いつまでに、誰が、どこで、何を、どのくらいの数量を行うのか、ということについて明確にする必要がある。
 事業実施の具体的なタイムフレームとともに、事業実施中に適切なタイミングで、その計画の進捗状況や問題点などが分かるように、事業目的に対する(量的・質的)指標とその指標が示すものを確認する方法についても定義しておく必要があると思われる。
 また、事業を実施するために最低限必要な前提条件についても計画の中で明らかにし、それへの対処方法についても可能な範囲で想定しておくことも、事業実施中に直面する問題に対処する際に、JPF事業関係者が共有できる情報量を増やすことに役立つと思われる。
 リベリアのような事業実施環境では、計画時に数値を積み上げても、実際のオペレーションでは状況によって、様々な変更を余儀なくされる可能性が高いが、事業開始後の具体的なタイムフレーム、活動内容の具体的な手順、何が不確定要素なのかも含め、可能な限り多くの情報を事前に共有することで、変更事項にも的確に対応できる可能性が高まると思われる。また、事業期間については、延長が避けられない状況は当然ありうるが、一方で、不確定要素も考慮した上で、計画段階で、設定した期間内に終了する可能性を高める検討も必要かと思われる。
 JPFリベリア人道支援プログラムは、JPFによる初期段階での投入により、NGOの現地での事業実施能力が確立されたことによって、国連機関との連携がスムーズに進むなど、今後、初期の人道支援が途切れなくより長期的な支援の枠組みへとつながるように、ある程度成果を見据えた案件形成を目指す一つのモデル・ケースと言えるだろう。
 また、より柔軟な事業実施を行う上で、JPF資金のみでなく、他の資金源の可能性を追求することが今後の課題といえる。

6. 添付資料

(1)別添1:ピース ウィンズ・ジャパン調査結果

調査日: 平成17年8月16日、17日、18日
調査団体名: ピース ウィンズ・ジャパン
記入者: 佐藤 美央
調査国・地域: リベリア モンロビア及びロファ州
モニタリング方法:  モンロビア事務所およびヴォインジャマ事務所での聞き取り
面談者: 1. 石井宏明 カントリー・ダイレクター
2. オスマン・ハッサン プログラム・マネージャー
調査・訪問箇所  モンロビア事務所
ヴォインジャマ事務所
注: 第三期支援事業地への訪問は実施できなかった。

1. 事業目的
   JPF第1期および第2期支援で協力関係を築いてきたUNHCRと連携しつつ、ロファ州への難民・国内避難民の本格的帰還のための支援事業を行う。JPF第1期、第2期で確立したモンロビアおよびヴォインジャマの基盤を活用し、フォヤ郡およびコラフン郡へ支援を拡大し、難民・国内避難民の(1)帰還先村落での復興のためのシェルター建設支援、および(2)橋修復を、フォヤ郡およびコラフン郡にて行う。

  2. 現地事情
   

 UNHCRに登録されているリベリア難民の約35%※6、国内避難民の3割以上※7がロファ州出身であるといわれている。またPWJが支援を展開するシエラレオネに滞在するリベリア難民の約53%がロファ州出身であると推定される※8 。2004年10月1日に安全宣言が出された7つの州へのUNHCRによる帰還支援※9が始まったが、2004年12月末現在、ロファ州の安全宣言は行われていない。しかし、雨季の終わりに伴い、ロファ州に15,000人以上が既に自主的に帰還したとみられている※10。また、ロファ州の安全宣言もUNMILによるDDRRが10月末で完了したことから、近日中に行われる予定である。

 2004年5月末にロファ州を訪れたUNOCHAミッションの報告書※11にも、帰還環境の整備が急務であると明記されており、同州においてNGOによる住環境整備事業の継続・拡大が期待されている。その中でも、ロファ州北西部に位置し、シエラレオネとギニア国境に接するフォヤ郡は内戦による被害を多く受けており、紛争前の人口密度がロファ州の中で最も高かったことから、本格化する帰還に伴う支援のニーズが最も高いことが見込まれる。さらに、フォヤ郡は主にシエラレオネからロファ州に帰還する多くの難民が経由する地域である。一方で、フォヤ郡にベースを置くNGOはまだない※12
※6 UNHCR, Regional Multi-year Operations Plan for the Repatriation and Reintegration of Liberian Refugees and Internally Displaced Persons (2004-1007) August 2004.
※7 IDP Return Survey of Official Camps - Liberia Preliminary Report May 2004 (OCHA/UNHCR - Liberia)
※8 UNHCR, Regional Multi-year Operations Plan for the Repatriation and Reintegration of Liberian Refugees and Internally Displaced Persons (2004-1007) August 2004.
※9 ここでの帰還支援は「Facilitated repatriation」を指す
※10 Global IDP Project, “Liberia: still too soon for IDPs to return home?” September 2004.
※11 OCHA Voinjama Mission Report (July 2004).
※12 GTZ、ACFやMSFはフォヤ郡に展開しているが、ベースを置いていない


  3. 事業概要
(1)シェルター建設支援(住環境整備)
   フォヤ郡およびコラフン郡に帰還した難民・国内避難民約1,000世帯を対象に、帰還先村落におけるシェルター建設支援を行う。本事業では、住宅再建に必要な道具(ツール・キット)、屋根資材の一部(ルーフ・キット)を段階的に1,000世帯に提供する。

  (2)橋整備・修復
     ロファ州の主要幹線道路や主要な橋はUNMILによって修復される予定であるが、主要幹線道路から帰還先の村落への道は整備されていない。これらの道路に架かる橋は、状態によりトラックが通行できなくなっており、支援物資が届けられない村落が多くある。これらの橋を修復することにより、支援物資の運搬を可能にするのみならず、今後帰還民の生計復興に必要となる市場へのアクセスを容易にする。帰還の状況を見ながら5箇所の橋を選定し、修復・整備する予定である。


  4. 変更申請
(1)事業内容の変更:資機材の性格変更 橋修復 5本→橋修復 18本
(2)事業期間の延長:変更後の事業終了:平成17年10月30日
 
1. 妥当性 内容 実施方法 所見
プロジェクト形成・初期評価 調査方法 JPF第2期支援実施中に、フィールド・コーディネーター3名とフィールド・モニターが調査を実施。 帰還民支援として第一期から行っているシェルター支援を、これまでに確立したヴォインジャマの基盤を活用して支援地域をニーズの高いフォヤ郡およびコラフン郡に拡大させており、一期、二期での経験が活かされており、継続事業のメリットが見られる。
情報源等 フォヤのDistrict Commissionerから村のリストを入手し、調整。  
実施時期・期間 2004年11月末から1月の間に実施(1ヶ月強)  
規模・深さ アクセス確保が可能かどうかという点と帰還民の数についての照合を行った上で、受益者の候補を確定した。 事業承認後、リストにあるアクセス可能な村を訪問の上、最終的に受益者を確定し村へ通知しており、その時点で可能な手続きが取られていると思われる。
その後の調査 変更申請時を含め、その随時調査を実施。  
2. 執行体制 内容 実施方法 所見
資金管理体制 資金管理システム 各事務所(モンロビア、ヴォインジャマ、フォヤ)に会計責任者を配置している。 予算全体の管理は、Monthly Financial Reportで行っており、現金出納帳と併せて東京へ毎月報告を行っている。
現金管理 モンロビア事務所の上限額は1,000ドルで鍵のあるキャッシュ・ボックスを引き出しに入れて管理。地方事務所では金庫による管理。 鍵は3名の国際スタッフのみが所持し、国際スタッフが不在の場合に、権限を委譲するシニア・ロジスティック・オフィサーが1名おり、現金を管理するシステムが構築されている。出し入れについては現金出納帳で管理。
契約書類 弁護士が作成の上、モンロビア事務所で保管。 雇用契約に関しては、裁判所とともに労働省へも登録し、適正に管理されている。
証憑 その内容が発生し、管理している事務所で保管している。 ヴォインジャマ事務所、モンロビア事務所、ともにきちんと保管されていた。
連携団体との調整 JPF事業については単独実施のため、必要なし。  
支援物資管理 入札、購入 2ないし3の見積りを取っている。 見積価格のみならず、購入後、配達までの期間の保管が可能かどうか、などを総合的に考慮して業者を決定している。
物資在庫管理 モンロビア事務所ではロジスティック・オフィサー、ヴォインジャマおよびフォヤ事務所ではストア・キーパーが管理している。 納品書とストック・カード(紙)が一致していることで、チェックしている。
関係団体との調整 JPF事業については単独実施のため、必要なし。  
資産管理 購入後、インボイスとレシートを東京に送付し、東京本部で管理。  
人事 数、配置 モンロビア事務所に5名(計画人員より1名減)、ヴォインジャマ事務所に16名(計画通り)、フォヤ事務所に18名(計画人員より2名減) 人員減による事業への大きな影響はないと思われる。
雇用手続き 新聞広告、他団体の告知板等を利用して募集し、PWJの基準に則した雇用手続きを行っている。 書類選考の上、その分野の担当者を交えて面接を行い、必要に応じて筆記試験も行っており、必要な手続きがとられている。
賃金 他NGOから情報収集し、賃金の上、平均、下を確認し、平均より少し上に設定する。 より信頼の置けるスタッフを雇用するために賃金設定で工夫がなされている。
労務管理 就業規則については弁護士に相談済みで、法律の範囲で適切に対応している。 基本的な勤務時間は8時から17時までだが、週48時間までであれば土曜日出勤も有り。事業地ではモンロビア事務所より柔軟な対応をして、事業を実施している。
通信体制   携帯電話と無線を配備。
ヴォインジャマ事務所では、スラヤ、インマルサット。フォヤ事務所ではスラヤとイリジウム。
 
安全管理   リベリア事業全体の退避プランおよび各事務所でのevacuation planもあり。 事業地では、パスポートを携帯し、隣国の査証も取得済みで退避の可能性を確保。6月に車に関して、安全運転と保守管理のトレーニングを実施するなど、安全確保に配慮されている。
広報体制   モンロビア事務所のAdminに集約して対応。 新聞等の取材に関しては、カントリー・ディレクターが判断して対応し、事業全体の概要が伝わるようにしている。
その他特記事項     車でモンロビアから事業地へ移動する際、また事業地間の移動の際には、道路事情、セキュリティ状況等を考慮すると、1台での移動ではなく、予備車と2台で移動できるのが望ましいと思われる。現実的に対応が困難である場合には、現在の無線での連絡体制を確実に実施しつつ、UNHCRなどパートナーとの連携を確実にするなど、できる限りオプションを広げて対処することが望まれる。
3. 支援プロジェクト 「ロファ州フォヤ郡、コラフン郡 帰還民支援」プロジェクト
事業計画書の変更点等  
活動執行状況 内容 実施方法 所見
支援対象 サイト ニーズの有無とともにアクセスの確保等を考慮して確定。 帰還民の動向に合わせて、変更も行っている。
対象住民の選択 コミュニティにおける帰還民の数、アクセスの有無等を考慮して、最終的な受益者を確定。 住民の事業への参加意思も考慮されており、計画された方法で受益者が確定されている。
カバー数 フォヤ郡1,000、コラフン郡250、計1,250家族をカバー。 事業の遅延、変更状況等を考えると、計画数値に改善の余地があり。
裨益者の参画 計画立案 District Commissionerのリストに基づいて村落と住民数を確認。 行政からのリストのみに頼らずに、確認作業を行っている。
情報享受、意見表明 住民のプロジェクトへの参加希望の意思を確認する。 意思表明後、長老と協議を行ってシェルター・コミッティーを作るなど、住民の参画意識が高く保たれる仕組みとなっている。
活動自体への参画 住民本人が土台作り、レンガおよびスティック集め、ルーフの取り付け、材料集めを行う。 住民が事業に参加することが活動計画に組み込まれており、住民参画が事業実施の前提であり、参画度が非常に高い事業設計となっている。
進捗状況 計画実施の迅速性 新たに支援地域を拡大しての事業であるが、継続支援事業であるため、要した時間は短縮されている。 新事務所の立ち上げ、ロジ体制の確立、等、継続事業のメリットが活かされている。
計画進捗程度 モニタリング実施時には、約1.5ヶ月遅れ。 道路事情、悪路による車輌故障、在庫切れによる物資調達遅れ等の影響で計画より遅れているのが現状。予測不可能な面も多いが、事業計画時の計画数値、タイムフレームに余裕を持たせることも必要かと思われる。
連携 パートナーNGO 本事業実施においては、パートナーNGOはなく単独実施。  
当該コミュニティ タウン・チーフの下に、シェルター・コミッティーを立ち上げ、その中のセクレタリーを通じて調整を行っている。 住民参加が組織化されており、連携も強化されている。
政府機関 事業地ではLRRRCの担当官と調整を行っている。 事業地レベルでは、担当官が配置されていれば、行政との連携もとりやすいが、モンロビア・レベルでは、行政が本来の機能を果たしていない場合もあり、連携をとるのが困難な場合が多い。計画省には、事業の実績報告を行っている。
調整 重複回避 同地域で活動している他団体は現在のところないが、モンロビアでは、援助団体のセクター会合に参加して情報を共有している。 PWJはシェルター分野の取りまとめ役となっている。
自立発展性 裨益者のオーナーシップ ツールキット配布後のシェルター完成率で測定可能。 継続的にモニタリングを行うことで、事業のインパクトも確認可能と思われる。
平和構築への影響 好影響 シェルター・キットの提供により帰還者が自らのシェルターを確保できる可能性が上がるため、受け入れコミュニティへの負担が軽減し、対立の可能性を減らす効果があると思われる。  
悪影響 現在のところなし。  
次期の見通し ニーズの動向 事業対象地域では、今後、さらに帰還民が増加する見通し。 ロファ州へは最も多くの帰還民が帰還すると見込まれている。
今後の計画 長期的には、難民帰還支援の継続に加え、教育分野でのインフラ支援等を計画中。 既に、今後の支援計画について、国際機関等との協議・調整を重ねている。
その他特記事項     モンロビアでは選択肢は限れられるが、車のレンタルが可能。車輌の維持費(含む修理代)が非常に高いことを考えると、一部車輌はレンタルでの対応も可能。但し、ランドクルーザーはレンタルではない。

(2)別添2:ワールド・ビジョン・ジャパン調査結果

調査日: 平成17年8月19日、20日
調査団体名: ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)
調査国・地域: リベリア グランド・ケープ・マウント州
記入者: 佐藤美央
モニタリング方法:  聞き取り及び事業地訪問
面談者: 1. 伊藤 真理 プロジェクト・マネージャー
2. Jeremy Moiwai, Project Officer
3. Augustine V. Kimber, Commodity Officer
4. Momo Kaifa, Field Monitor
5. 池田 満豊 海外事業部
調査・訪問箇所: テウォー県
1. Bulma
2. Balajah
3. Kulangor

ポパ県
1. Dambara倉庫
2. Gangama
3. Mano Gleh Public School
4. Largor

1. 事業目的
   戦争によって破壊された、難民、国内避難民等の帰還先コミュニティの生活環境、インフラを整備することにより、昨年10月より開始された国連機関などが支援する本格的な難民・避難民の自発的帰還及び再定住を支援、促進する。長じては、コミュニティ復興への基盤をつくることを目的とする。

  2. 現地事情
     国連リベリア・ミッション(UNMIL)の全国的な展開と2004年10月31日を以って正式に終了したDDRR(武装解除)で約96,000人の元武装兵士が武装解除したことによって、より安定した生活環境が整備されつつある。リベリア国内の治安の安定化に従って、国連等の支援による難民や国内避難民の帰還が始まっている。これまでに近隣諸国(ギニア、シエラレオネ、ガーナなどの西アフリカ諸国)からリベリアへ帰還した難民数は12月現在で150,351人※13と言われている。
 水と衛生施設、学校、支線道路及び丸太橋の修復への緊急支援は、新しく帰還した住民を安住させる上で必要不可欠な要素であり※14、且つ故郷を離れて避難民生活を行っている人々に対して故郷への帰還への意欲を与える意味でも第2期に引き続き支援が必要であり、国内避難民、難民帰還事業成功の鍵となる。また本支援は帰還先のコミュニティ、リベリア難民・国内避難民、元武装勢力兵士などが融和を図り、コミュニティを再建するための基盤作りとしても大変重要である。
※13 UNHCR Liberia Office, “Statistics on people of concern to UNHCR”による。この内訳は、自発的な帰還者概数145,197人、国連などの支援による帰還者数5,154人(2004年12月現在)である。
※14 UN (2004): Consolidated Appeals Process (CAP) West Africa 2005, p11による。


  3. 事業概要
   第2期事業では、トイレ、井戸の設置・修復を実施したが、実施地の住民の強い要望があり、第3期事業も同修復を引き続き実施する。また、学校の修復を実施するとともに、テウォー県とポパ県を結ぶ道路状況の悪い地域(バター・ヒル、マンボ・ヒルなど)の支線道路、丸太橋の簡易修復を合わせて実施する。

  4. 変更申請
  事業期間の延長申請中(変更後の事業終了:平成17年9月30日)。

1. 妥当性 内容 実施方法 所見
プロジェクト形成・初期評価 調査方法
コミュニティからの支援要請状と現地視察
住民の衛生状況、村落の地質、生活状況等に関する調査を実施。
道路と橋については土木エンジニアと重機レンタル会社の職員が現地視察による調査を実施。
JPF第1期、第2期と支援を実施した2県内で支援を継続しているため、現地状況に精通したWVJテクニシャンとプロジェクト・マネージャーが調査を実施。
国連機関が使用する様式に準じた形式の「WV学校選定アセスメント様式」、「WV環境保健・水・衛生施設アセスメント様式」有り。
情報源等 コミュニティのタウン・チーフ、女性グループおよび若者グループの代表者。 各コミュニティにおいて、代表者としてのタウン・チーフのみならず、女性グループ、若者グループの代表者にも聞き取りを実施するなど、可能な限り実際のニーズが反映されるようにしている。
実施時期・期間 2005年3月後半から情報収集開始。水とトイレに関するアセスメント調査は4月初めに実施。 第2期支援を実施しながら、次の支援のニーズを確定していくのは人員上も時間的にも厳しいところもあるが、継続事業のメリットが活かされている。
規模・深さ サンプル調査ではなく、全事業地での調査を実施。 例えば学校はJPF第2期支援の終わりに候補となりうる学校を視察の上、コミュニティからの要請状とつき合わせを行うなど、丁寧に事業地選定を行っている。
その後の調査 事前調査結果をもとに、事業開始後、最終確定。 コミュニティの自主性の有無などを考慮して、より支援効果、持続性の高いコミュニティを最終的に選定。
2. 執行体制 内容 実施方法 所見
資金管理体制 資金管理システム JPFより契約金受領後、日本国内支出予定分とリベリア分とに分けて、リベリア支出予定分については、リベリア(モンロビア)へ一括送金。その後は、WVファイナンシャル・マニュアルに基づいて、プロジェクト・コードを用いて管理。 WV全体で共通の管理システムに基づいて管理。リベリアでのJPFプロジェクト全体の予算管理はプロジェクト・マネージャーが行い、出納については、JPFプロジェクト会計担当者がプロジェクト・マネージャーの指示のもとで行うというシステムが確立されている。
現金管理 WVリベリア事務所で一括管理。 WVの所定の手続きに則って管理されている。
契約書類 契約書等については、モンロビア事務所で一括管理。JPFとWVJとの支援実施契約書、JPF資金管理基準については、英訳の上、WVリベリア事務所で共有されている。 第一期支援からの継続支援事業であり、JPFシステムについても、WVリベリアに理解されている。
証憑 モンロビア事務所で一括管理。 WVシステムに基づいて、JPF事業にかかる証憑についても管理されている。
連携団体との調整 英訳した契約書に加え、定期的に開催される幹部会で事業管理に関する情報共有を行う。 資金管理全体を含め、WVのシステムから管理上のサポートを受けつつ、WVJ東京本部とも十分な連絡体制を維持し、JPFプロジェクトの独立性が担保されている。
支援物資管理 入札、購入 資機材調達に際しては、三者見積りを取得している。 「WV調達ポリシー」という調達に関わるガイドラインがあり、それに則った手続きが取られている。
物資在庫管理 物資管理オフィサーのもと、各倉庫マネージャー及びアシスタント・マネージャーがWV物資在庫管理システムに則って管理。 貨物運送状、在庫カード、在庫物資コントロール・ブックを用いて、倉庫にて厳重に管理されている。
関係団体との調整 WVリベリア事務所の物資管理マネージャーが率いる物資管理チームのサポートを受けている。 JPFプロジェクト担当者は、リベリア事務所のシステムの中、JPF事業関連物資について、責任を持って管理している。
資産管理 WVの管理システム有り。 JPFプロジェクト関連資産については、WVリベリアの担当オフィサーがJPFプロジェクト・マネージャーに適宜報告を行っている。
人事 数、配置 JPFプロジェクト・スタッフの人員配置図あり。 計画人員からは、フィールド・モニターが一名減となっているが、業務は現行の人員でカバーされている。
雇用手続き WVリベリア事務所の手続きに則って、雇用されている。 JPFプロジェクト・マネージャーが職務内容書を起案し、WVリベリア事務所の人事担当オフィサー、各担当部署とともに書類選考、面接を行って、採用を決定する。継続事業であることもあり、非常に能力の高いスタッフを確保している。
賃金 WVリベリア事務所の給与スケールに則して規定され、支払われている。  
労務管理 プロジェクト・マネージャーが全体を管理し、シンジェ事務所については、プロジェクト・オフィサーが管理し、プロジェクト・マネージャーに報告。 事業期間の終期が近づいている中、スタッフの定められた休暇の取得率が低く、順次休暇を取得できるよう、日程調整はされていたが、実際には事業実施が優先されて、休暇は取れていない状況。
通信体制   携帯電話、スラヤ、無線を状況に応じて使用。 モンロビア市内では携帯電話での通信が可能だが、シンジェ事務所とモンロビア間の通信は、衛星電話、無線での通信。
安全管理  
事業地に赴任する国際スタッフに対して、WVのコーポレート・セキュリティが包括的な安全管理のトレーニングを行う(レベル2)。
現地では、WVリベリアのセキュリティ・オフィサーの支援あり。
撤退計画については現在更新中。
シンジェ事務所および倉庫では、3交代のセキュリティ・ガード有り。
事業地の訪問などは、リベリア事務所のセキュリティ・ガイドラインに従った方法で行われている。
広報体制   事務所、各事業地ともにJPFのロゴ・マーク入り看板を中心に積極的に広報されている。また、スタッフが着用するTシャツ、帽子等にもロゴが使用されている。 各事業地でJPF事業のビジビリティが非常に高く、WVJ事業地を通過したという他のドナーからも指摘があった。
その他特記事項   特になし。  
3. 支援プロジェクト 「トイレ、井戸設置・修復、学校修復、支線道路・橋修復」プロジェクト
事業計画書の変更点等  
活動執行状況 内容 実施方法 所見
支援対象 サイト グランド・ケープ・マウント州ポパ県とテウォー県内の20村落をカバー JPF第一期支援よりカバーしていた2県で支援を継続している。
対象住民の選択 ニーズ調査実施後、タウン・チーフとの協議などを通じて支援コミュニティを確定。 コミュニティからの要請状に加えて、実際にコミュニティを訪問し、プロジェクトへの参加意思の有無を確認した上で選択している。
カバー数 事業期間を勘案して対象コミュニティ数を確定。 これまでの支援実績に基づいて、活動内容をトイレ・井戸の設置と学校修復、支線道路の簡易修復に絞った上で、実施可能なカバー数を確定。
裨益者の参画 計画立案 計画立案前に実際に現地で聞き取り調査を行っている。 タウン・チーフや女性や若者の代表など、直接コミュニティの住人からの聞き取り調査も行うなど、裨益者の参加に非常に配慮された事業形成となっている。
情報享受、意見表明 コミュニティからの支援要請状を受けた上でニーズ調査を行っている。 プロジェクト参加に関する住民の啓発活動も事業に組み込まれており、住民の意思も十分にプロジェクト活動に反映されている。
活動自体への参画 トイレや井戸の設置箇所の特定過程や実際に工事作業に従事するなどしている 事業実施過程に裨益者の参画が組み込まれており、住民のプロジェクトに対するオーナーシップ意識を高めている。
進捗状況 計画実施の迅速性 継続支援事業であるため、効率よく支援実施体制が構築されている。 人員配置、ロジ体制の確立、物資の調達にかかる時間が大幅に短縮されて、継続支援事業のメリットが活かされている。
計画進捗程度 モニタリング実施時には、資材調達遅れ、道路状況悪化によって資材搬送に計画以上の時間を要するなどの影響で、1ヶ月の事業期間延長を申請中。 資材調達については既に調達が終わり、搬送中であり、期間延長が承認されれば、既に事業を完了できる見通しあり。
目標達成度
トイレ200基は終了。
井戸も設置・修復は完了し、今後引渡し手続き行う予定。保健衛生トレーニングを引き続き実施中。
学校4校のうち、1校は屋根まで終了、残り3校は屋根をはがして、骨組み強化の段階。
道路の簡易補修は終了。橋は6本のうち2本については、資材納入待ち。
天候や道路事情の悪化などコントロールできない要因によって、多少計画よりも遅れているが、支援内容は当初計画通りに実施されている。
連携 パートナーNGO 事業実施においてはパートナーNGOはなく単独実施。 WVリベリアからは、ロジ、会計、物資の在庫管理についての支援体制があり連携体制が有効に機能している。
当該コミュニティ フィールド・モニタースタッフが頻繁に事業地を訪問するとともに、既存のコミュニティ福祉委員も事業の中に組み込まれている。 裨益者の参画に重点を置いた事業であり、住民側の参加意識も非常に高く、支援対象コミュニティとの連携は高いレベルにある。
政府機関 各事業分野の関係行政機関との連携が図られている。 計画段階からdistrict education officerから助言を得たり、道路補修に関しては知事に報告を行い、公共事業省と調整を行うなど、良好な関係が築かれている。
調整 重複回避 グランド・ケープ・マウント州内で活動する団体でHCS主催のセクター別会合に参加。 調整会合に参加しない団体もあり、現場レベルでの調整が必要となる場合もあるが、アクセスが悪く、他団体の支援が及びにくい箇所も積極的に対象に加えている。
自立発展性 裨益者のオーナーシップ
コミュニティ福祉委員が事業実施の初期段階から活動に参加している。
トイレに関しては、事業終了後も簡単な修復を行いつつ維持できるように、修復に必要な最低限の道具を供与。
事業の一部として、裨益者へ啓発活動などが頻繁に行われており、裨益者の事業に対するオーナーシップ意識を高めるのに非常に有効である。
自立の可能性
井戸に関しては、技術面ではレベルが向上している。
トイレに関しても、作り方はマスターしている。
同地域での支援活動が継続されており、十分なモニタリング、フォローアップが可能なため、必要な支援がタイムリーに行われれば、今後の自立の可能性をさらに高めていけると思われる。
平和構築への影響 好影響
民族的、宗教的背景が偏らないように支援対象者を選定している。
また帰還民のみならず、帰還民の受入コミュニティ全体に支援を行っている。
帰還民や元兵士など、特定のグループだけを支援するのではなく、受入コミュニティ・ベースのアプローチをすることで、新たな対立を作り出さないよう、注意深い配慮がされている。
悪影響 現在のところなし。  
次期の見通し ニーズの動向 帰還民支援 10月の選挙が終わり、雨季が終わったあとから、難民・避難民の帰還が本格化することが予想されており、帰還民の再定住支援のニーズがますます高くなると思われる。
今後の計画 平和構築の観点から、これまで支援を実施してきた2県でマルチ・セクターの支援を展開予定。 これまで既に一年半の支援実績があり、今後のより本格的な帰還民の再定住支援に十分に対応できるキャパシティがあると思われる。
その他特記事項     必要な部分で自己財源を投入して事業を進めているため、事業実施における柔軟性が確保されている。

(2)別添3:参考写真

井戸修復   修復中の学校
     
 
道路修復の様子   修復中の橋


以上


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