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プレスリリース

9/1-9/10初動調査報告
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現地の写真

企業・団体によるサポート


ペルー地震被災者支援・情報

ペルー地震被災者支援初動調査報告書
2007年9月7日
ジャパン・プラットフォーム事務局:寺垣ゆりや
小柴巌和
1. 背景

 8月15日18時(日本時間8月16日午前8時頃)に、ペルー共和国でM8.0の地震が発生し、リマ州及びイカ州全域において、広範な被害が出ている。8月30日付けのNational Institute of Civil Defense(INDECI)の情報によると、死者500名以上、倒壊家屋約6万軒という大規模な被害となっている。

 ジャパン・プラットフォーム(JPF)では、8月19日に参加NGOである特定非営利活動法人ICA文化事業協会が関心表明を行い、8月23日より初動調査及び緊急物資配給が行われている。被害状況が明らかになるにつれ、民間企業からの支援の申し出や問い合わせも多数寄せられてきている。このような状況を受け、被害が一番大きいと報じられているイカ州ピスコ市、チンチャ市、ウマイ地区(いづれもリマより車で2〜3時間南下した地域)などの被災地、ならびに、首都リマ市へ事務局調整員2名を派遣し、初動調査を実施することを決定した。


2. 事業目的

事業展開にかかる関係機関との連絡・調整体制の確立(チンチャ市政府当局、在ペルー日本国大使館、援助調整機関(ペルー国家防災庁(INEDECI)、国際協力機構(JICA)リマ事務所)
日秘商工会議所に対するJPF活動の説明と連絡体制の確立
ペルー日系人協会に対するJPF活動の説明と連絡体制の確立
JPF参加NGOによる現地調査概要の把握、及び、被災地の状況調査
IOM、INGO現地事務所(ADRA Peru)による支援活動の把握


3. 出張者

JPF事務局総務総括 寺垣ゆりや
JPF事務局代替員 小柴巌和


4. 日程

9/1
(土)
東京出発
深夜リマ到着泊
9/2
(日)
ICAとの打ち合わせ
9/3
(月)
在ペルー日本国大使館訪問
JICAペルー事務所訪問
日秘商工会議所訪問
9/4
(火)
ADRA Peru訪問
ペルー国家防災庁(INDECI)訪問
MITSUI訪問
日系人協会訪問
9/5
(水)
被災地視察
ピスコ市、チンチャ市
9/6
(木)
被災地視察
ピスコ市内、ウマイ区
チンチャ市長訪問
ペルー国家防災庁訪問
9/7
(金)
在ペルー日本国大使館訪問(視察結果報告)
双日ペルー事務所訪問
伊藤忠商事ペルー事務所訪問
9/8
(土)
ミッション総括作業
リマ出発
9/9
(日)
移動
9/10
(月)
東京着


5. 調査結果

(1)概況
  (a)ペルー政府の対応
     ペルー政府の援助体制として、大まかに3つのフェーズに分けて対応する計画である。
   
(1) Emergency phase: 被災後48時間以内の緊急支援。毛布などの物資配給。
(2) Rehabilitation phase: 被災後2週間以内の支援。テントや仮設住宅の設営。
(3) Reconstruction phase: 中長期的な復興支援
   

 上記の計画では、現在は(3)のフェーズに入っているべきであるが、支援関係者の大方の意見では、まだ(2)のフェーズ、場合によっては(1)のフェーズから脱しておらず、(3)に移行できるまでには2ヶ月ぐらいかかるのではないかとの見方が多いようである。(3)のフェーズにおいてはFORSUR基金(Fund for Integral Recovery of Areas Affected by the Earthquake)が設置され、復興支援金に当てられる予定である。
家屋を失った被災者への金銭的な支援計画、ピスコ市中心街そのものを移転させる計画など、これから検討、決定していく見通しの政策が多くあり、緊急支援から復旧・復興に向けた中長期的な計画はまだ具体的には公表されていない。また、ペルー経済財政省が設置している義援金口座への支援金は、今後使途を決めていく方針であるとのことである。
 INDECIに寄せられた支援物資は、全体状況を把握した上での配給というよりも、各地方行政からの申請ベースで提供されている模様である。
 今般の地震被害に対する支援に向けた超法規的な対応を施すには至っていないが、支援物資の輸入関税、購入物資の税金(19%)の免除あるいは還付の可能性は有りうる。支援受け入れ体制については、INDECIが調整役を担うことになっているが、支援を実施する際にINDECIへの登録や許可が必要となるわけではなく、各自で実施している支援内容、活動場所の情報を提供すればそれで良いというスタンス。調整はあまり機能的に行われていないと見受けられる。
 また、NGOがペルー国内で支援活動を実施するにあたり、法人登記の有無に制限は設けられていない。ただし、NGOがペルーで銀行口座を開設する場合、日本で口座開設を行う方法と現地で開設する方法があり、日本で行う場合は、在京ペルー大使館を通じて実施する。ペルーで開設する場合は、法人登記登録を行っていなければならないため、スペイン語による手続き書類の作成などかなり時間と手間が必要となる。

    (b)援助機関・団体による対応
     地震発生から約3週間が経過し、当初の情報とは異なり被害状況がより深刻であることが確認されている。これに伴い、国際援助機関・団体(INGO)の動きもより活発になってきている。現時点では、国家防災庁INDECIや州政府当局と連携しながら、テントや食料などの物資配給を中心として支援活動に取り組んでいる。現時点では、WHO/PAHO、FAO、UNICEF、WFP、UNFPA、IFRC、USAID、World Vision、CARE International、Oxfam、ADRA Japanなどが活動中である。
 また、8月28日(火)ペルー政府の調整、および、国連災害評価調整チーム(UNDAC)、UN Systemなどの初動調査結果から36百万米ドルのフラッシュ・アピールがUNOCHAより提出された。想定対応期間は6ヶ月間。この内、国連中央緊急対応ファンド(CERF、UN CENTRAL EMERGENCY RESPONSE FUND)からの9.6百万米ドルのみが確保されている。
    (c)赤十字・赤新月社(IFRC)による対応
     ペルー赤十字のネットワークをもとに、支援体制の確立が進められてきた。8月17日(金)、初動調査の結果を踏まえ、緊急活動支援の資金的ニーズは1.3百万米ドルとされた。その後、8月20日(月)には、4.6百万米ドルに上方修正されている。
 これまでにテント、毛布、衣料、プラスティックシート、食糧などの物資配給に予算を投じている。IFRCの自己資金である災害救援緊急ファンドからは20万米ドルが拠出されている。
 9月4日(火)時点において、シェルター、生活物資配給:海岸地帯から山岳地帯まで広い範囲に及ぶ8,809世帯に供給している。同4日(火)には、国際社会による更なる支援の必要性を訴えている。
 また、食料物資配給、給水、保健医療などの分野においても活動を展開中である。更に、少なくとも1,000世帯に心理社会的サポートを展開することを計画している。
  (2)事業展開にかかる関係機関との連絡・調整体制の確立
     以下の各機関との連絡・調整体制を確立した。

・ペルー国家防災省(INDECI): Aristides V.Mussio Pinto C.de N(r) (リマ)
  Director (e) National de Operaciones
  Econ. Percy Alvarado Vadillo (ピスコ)
  Secretaria Permanente de los Consejos
 ピスコ市近郊でJPF関係団体が事業を展開する場合は、ピスコ市にあるペルー空軍第51航空隊本部の敷地に拠点を構えることの了承をいただいた。
 また大使館より、救援活動する際には、以下の方に連絡を入れるよう指示があった(今回の訪問時には、チリ要人がピスコ空軍に到着した時間であったため、面談していない)。

ルイス・バジェナス・バジェナス氏:調整団常任委員会


・在ペルー日本国大使館: 田阪昭彦一等書記官
  多田敦一等書記官
  佐川道人二等書記官兼警備対策官
 支援活動に関する情報だけでなく、ペルーにおける治安情勢について情報を共有する。JPFおよび参加NGOは活動場所、支援内容などを適宜報告する。

日本国政府として現在以下の支援を計画中である。
(a) ペルー教育省へ1億5千万を拠出し、プレハブの仮設校舎を100校設置する。設置場所は教育省により指定される。
(b) 橋や学校などの大型ハードの建設を行う。9月13日よりJICA、専門家、国土交通省からなる視察団がペルーを訪問し、支援内容の検討を行う予定。
(c) 草の根無償による地震被災者支援事業の促進を行う。2007年度分の申請締め切り11月末までにプロジェクト形成が可能、かつ短期間で実績が期待できる校舎や診療所の建設などを想定している。過去に草の根を申請した経験のある、ペルーの地方自治体や在ペルーNGOなどに働きかけを行う。
(d) JICAによる耐震性を備えたアドビ建設の技術移転支援を、イカ市において実施する。9月末より専門家が滞在しトレーニングを開始する予定。
以上の支援計画を踏まえ、以下のことを確認した。

 上記支援を実施する際のプロジェクト・サイト選定にあたり、JPF事業の周辺で実施することを積極的に検討したい。それにより日本からの支援の見せ方に相乗効果が期待できると考えている。また、政府支援により設置された仮設校舎で生徒たちへの文房具を供与するなど、NGO側でも、活動地域検討の際に、政府事業の周辺を視野に入れるという考え方を歓迎する。


・JICAペルー事務所: 表孝雄所長
ペルーにおける事業実施にあたり、情報共有など適宜協力を行うことを確認した。

また、2007年4月より、16年間中止していた海外青年協力隊員のペルーへの派遣を再開している。今回はテスト期間として10ヶ月間のみだが、特に問題なければ来年度より本格的に派遣を実施する予定とのこと。
  (3)日秘商工会議所に対するJPF活動の説明と連絡体制の確立
   日本・ペルー商工会議所を訪問し、JPF活動の紹介、今般の地震被災者支援事業の概要を説明する機会を得た。会員企業へのJPFの紹介をしていただくことになった。面談させていただいたのは以下の役員の方々である。
小川勝明 会頭(ペルー味の素)
  清水達也 第一副会頭(グルーポ・パナ/トヨタ自動車販売)
  中森亮政 理事(双日ペルー)
  (4)ペルー日系人協会・ペルー広島県人会に対するJPF活動の説明と連携体制の確立
   ペルー日系人協会およびペルー広島県人会のメンバーの方々と面談し、日系人協会による支援活動の説明を受け、またJPF活動の紹介、今般の地震被災者支援事業の概要を説明する機会を得た。必要であればいつでもご協力頂けるとの了解を頂いた。面談させていただいたのは以下の方々である。
嵩原ルイス 日系人協会国際部長
  ハシント小野 ペルー広島県人会顧問
  アルフォンソ桶田. ペルー広島県人会員
  三宅 康平 JICA青年海外協力隊(JOCV)村落開発普及員(広島県出身)


6. JPF参加NGOによる支援事業概要

ICA文化事業協会(ICA)
 

8月23日より、ICAペルースタッフとともに、カニェーテ、チンチャにおいて被災状況の調査を実施するとともに、チンチャ市周辺の集落において、毛布1200枚、120Lの水タンク600個、15Mのビニールシート6本と50kg入りの豆を60袋の配布を行った。

9月中旬より以下の事業を6ヶ月間の計画で実施予定
a) 効果的な地域組織の育成
b) コミュニティキッチン(Ollas Comunes)の設備充実
c) 仮設住宅の建設
d) 家族経営の事業再建支援
e) 被災した子どもの健康回復を支援する
ADRA Japan (ADRA)
  ADRA  Peruにより、ピスコ市、チンチャ市において、地震直後の食料、衛生用品、毛布、キッチン用品など数十トンの物資を配布したほか、仮設診療所における怪我、病気の治療のほか、心理的ケアを専門医を配置して実施している。また共同キッチンを設置し、一日3回の炊き出しを42箇所で実施している。ADRA Japanは10月より、事業開始時の被災地のニーズに沿った事業を開始する見通し。


7. 所見

  今般のペルー地震被災者支援事業の展開にあたり、以下の事項を勘案すべきと考える。
 
ペルー政府による今般の地震被害に対する対応は、他国における同レベルの自然災害対応と比較すると、若干時間を要しているような印象を受ける。地震発生から3週間経過した現在でも、被災地の市街地は瓦礫の山と埃にまみれており、過疎の比較的小さな集落では、お揃いのテントが規則正しく設置されたテンポラリーなキャンプで被災者が避難生活を送っている地域と、全く何の支援も届かず、取り敢えず手に入る全ての資材を使って囲いを作り、シェルターとも言いがたいような住居スペースで、食事にも事欠く環境で生活している地域との格差がかなり見受けられた。これは、政府機関によるコーディネーションがあまり機能しておらず、支援実施団体が、各々で支援場所を見つけて活動を行っていることが要因と考えられる。
チンチャ市長のところには、周辺の集落のリーダーが大勢陳情に訪れており、彼らは口々に他の地域との支援の格差を訴えており、地震以前より貧困地域であった過疎の集落では、仕事を失い、支援物資も届かず、困窮している状況である。実際に市街地より車で30分ほど離れた集落へ行くと、倒壊した家屋の瓦礫を片付けることも出来ずにいる世帯も多く、また一部の瓦礫を運び出している場所では、瓦礫の山が邪魔をして車両が通れず、給水車が来ても、個々の住居の前までは入れないため、小さなバケツで住居と給水車の間を(100メートル以上はある)100回も往復して、ようやく支給された120Lのバケツを満たすことができるといった状況であった。また夜間にはかなり冷え込む地域で、衣服も十分に足りておらず、多くの子どもたちは頬がしもやけのように赤紫色に変色している。
以上のような状況を勘案すると、事業地における支援の必要性は依然としてかなり高く、またすぐに状況が改善される環境ではないと判断する。また、行政や国際機関の支援からこぼれ落ちやすい過疎の小さな集落などへの対応は、JPF参加NGOの支援が活かされるところであると考えられる。そのような集落では、コミュニティ・リーダーが地域のまとめ役として存在しており、彼らを中心に住民をまきこんだ支援を実施することが可能であると考える。
フジモリ元ペルー大統領が、在任中に過疎の地域へのインフラ整備や学校建設などをかなり熱心に行ったことから、今回の被災地においても「フジモリが今でも大統領だったら、私たち(の様な過疎地域の貧困層)にもちゃんと支援が届いていたはず」とのコメントを何度か聞くことがあった。また、被災地の中に、フジモリ氏の娘や現夫人の名前がつけられた村があること、日本へ出稼ぎに出ていた住民がいるなど、日本人に対する好意的な感情と、多大な期待があると考えられる。そのような環境下で日本からの支援を行う際には、出来ること出来ないことのラインをはっきりと意思表示することを十分留意すれば、様々な意味において支援の効果が高くなると考える。
JPFの対応としては、初動調査後6ヶ月間を緊急対応の期間設定とし、その後民間資金の集まり状況を鑑みつつ、3−4ヶ月間の復旧・復興に向けた対応を行うのが妥当と考える。また政府や国連機関による調整機能が効果的に働いていないことから、大使館やJICA事務所と連絡を密に連絡を取りながら、各機関の動きをタイムリーに情報収集し、事業期間設定の柔軟な対応と、事業実施にかかる執行状況の確認を行うため、緊急支援事業期終了前の2008年1月頃にモニタリングまた復旧・復興支援終了時に評価ミッションを実施する等、当該事業へ支援をしている企業を始めとするドナーへの説明責任を果たすことを提案したい。
支援を実施する際には、ペルー政府、INDECI,地元行政、との連絡を出来るだけ密に行うこと、スペイン語による対応が適切にできる体制を持つこと、ペルーの国民性を十分に理解したうえで活動することが重要であることを付記しておきたい。
以上


添付資料

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